大判例

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名古屋高等裁判所 昭和30年(う)1141号 判決

論旨は、原判決には、被告人の判示(2)の二月四日玉川光男に対し、覚せい剤注射液二cc入りアンプル五百本を代金四千五百円で譲り渡した事実の補強証拠として、玉川光男の上申書を挙示しているが、右上申書には、二月二十六日頃五百本を五千円、二月二十九日頃五百本を五千円、二月七日頃五百本を五千円で譲り受けた旨記載されてあつたのが、右二十六日を二日に、二十九日を四日に夫々代書人である司法巡査によつて訂正されているが、右訂正は玉川光男の訂正とは認められないので、結局判示二月四日の譲渡の事実について、右上申書は補強証拠の価値がないというのである。よつて、訴訟記録を調査するに、玉川光男の上申書が論旨指摘のように訂正されていることは明らかであり、それが代書人である司法巡査奥村博幸の筆蹟によつてなされたものであるように認められるのであるが、右訂正が玉川光男の署名指印した後に、ほしいままになされたものと認むべき証拠がないので、玉川光男の承諾のもとに訂正されたものと認むべきであり、しかも、玉川光男の司法警察員に対する昭和三十年二月二十日附供述調書及び検察官に対する同月二十一日附供述調書によれば、前記譲受年月日は、夫々二月二日、二月四日、二月七日である旨の供述記載があるので、右上申書の記載の訂正は正当であると認めるに十分である。そして、右上申書は、被告人及び弁護人において、これを証拠とすることに同意しているのであるから、原審がこれを証拠能力ある書類として取り調べたのは適法であり、これによつて前記判示事実を補強するに十分である。原判決には、この点に関し何等理由不備の違法はないので、論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 石坂修一 裁判官 高橋嘉平 裁判官 伊藤淳吉)

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